「子どものびのび 大人いきいき ともにつくる おいらせ町」おいらせ町の移住者向けポータルサイト

幻の料理「へっちょこ汁」など、旬の食材で作る家庭料理から覗く青森県・おいらせ町の魅力 記者:片桐優妃

おいらせ町は、人口25,000人ほどの青森県東部の町。
東北なのでもちろん冬は寒いですが、実はあまり雪の降らない住みやすい地域で、農業にも適しています。

そんなおいらせ町には、銀の鴨で出汁をとったスープでできた「へっちょこ汁」というほかにはないとても珍しい料理があります。


だるま芋と銀色の鴨で作る、へっちょこ汁とは


へっちょこ汁とは、おへそのような形をした「へっちょ」=へっちょこ団子の入ったスープのこと。

団子のもとは、長芋と自然薯を組み合わせた「だるま芋」というこの町の名産品と片栗粉を混ぜ合わせて作ります。

このへっちょこ団子を使ったへっちょこ汁は、このあたりで昔からよく食べられていた「長芋すいとん」をアレンジしたもの。おいらせ町が誇る「だるま芋」を広めるために考案された料理です。

長芋だと水分があるのでこれで団子を作るとべたべたとしてしまいますが、だるま芋で作るともちもち、ふわふわのよりおいしいお団子を作ることができます。

この「だるま芋」は生産量が多くないため県外・町外にあまり流通しておらず、さらにへっちょこ汁の出汁に使われるのがただの鳥ではなく「銀色の鴨」であることがこのへっちょこ汁が珍しいといわれる理由。

だるま芋ではなく長芋、銀色の鴨ではなく鳥で出汁をとってへっちょこ汁に似た料理をつくることはできますが、本物のへっちょこ汁が味わえるのはおそらくここ青森県のおいらせ町だけです。


へっちょこ汁を実際に作ってもらい、美味しくいただきました!


へっちょこ団子は、おへそのような形をしているのが特徴。団子のもとを、10円玉くらいの大きさにくるくると丸めたら、親指の腹で真ん中をぎゅっと押して形を作ります。

球形ではなく、ちょっとつぶれたへなちょこのおへそのような形になればOK。

お鍋にかけてしっかり火を通します。

団子ははじめ鍋の底に沈みますが、火が通ればだんだん浮いてきます。全部浮いてきたら、へっちょこ団子は完成です。

このへっちょこ団子と、地元の野菜と国産のしいたけなどを合わせて、銀の鴨で出汁をとり、醤油で味つけしたスープでよく煮ます。

銀の鴨はほとんどとることができないので貴重なのに加え、上手に出汁をとるのがとても難しい食材です。5時間出汁をとって冷凍して、さらに加工してスープにするというかなり手間もかかる作業ですが、おいらせ町にはこの銀の鴨の出汁をうまくとれるプロがいるので、そこでとった出汁を使ってへっちょこ汁を作っています。

そうしてできたへっちょこ汁は出汁の旨味が効いていて、もちもちつるつるとした団子との相性もよく本当に絶品なのですが、前述した通り残念ながら町の外ではほとんど食べることができません。

実は町内でも気軽に食べられるわけではなく、お祭りなどのイベントの際にしか食べられないんだとか。

ただし、だるま芋の収穫時期である秋はこのへっちょこ汁を食べられる機会が一気に増える時期で、9月の末から10月は毎週なにかしらのイベントで用意されるそう。とくに11月のビッグイベント「おいらせ鮭まつり」には、このへっちょこ汁を楽しみにやってくるゲストもいるようです。

ちなみにイベント以外のタイミングでどうしてもへっちょこ汁を食べてみたいという方は、町内にある「野菊食堂」さんに相談(予約)すると食べられるかもしれません。

いずれにしろ、へっちょこ汁が食べたい方はぜひ、おいらせ町に足を運んでみてください。足を運ぶだけでなく、この町に移住すれば毎年秋においしいへっちょこ汁が食べられますよ!


この町でしか味わえないものがもうひとつ! 日本酒「穂の泉」


続いて紹介したいのは、この穂の泉。
おいらせ町でつくられている日本酒です。
以前は青森のお米はあまりお酒に適さないといわれていて、北海道からお米を取り寄せていたそうですが、数年前にようやくおいらせ町産のお米での日本酒造りに成功したんだそうです。

すごく飲みやすくて和食にもよく合うので一度飲むとファンになる人も多いよう。軽い飲み口であっという間になくなってしまうので、飲みすぎには注意してくださいね。

こちらのお酒もおいらせ町の中でしか販売されていない貴重なお酒なので、おいらせ町を訪れた際にはぜひ飲んでみてください。


そのほかの家庭料理は? 種類の多さとほっこり感がおいらせ流


へっちょこ汁や穂の泉と合わせて食べるおいらせ町の家庭料理はどんなものがあるのでしょうか? 今回は特別、おいらせ町に長く住む柏崎さんにごちそうになりました。

・あつあつの炊き込みご飯
・鮭のおろし和え=鮭の煮生須

・みずみずしくて甘みのあるトマト
・大根おろしで食べる里芋
・ほうれん草のごまあえ
・そら豆みたいな茹で落花生

食材はほとんどすべて、この料理を作ってくれた柏崎さんのうちでとれた旬の食材です。普段よく目にする食材でもちょっと食べ方が違っておもしろかったり、鮮度が違うので普段よりずっと美味しく感じたりして、食べること・味わうことの楽しさを改めて感じました。

机にずらりとごはんが並び、こんなにたくさんの種類を一度に食べれるなんて幸せだなあ……と思ったのもつかの間。

都会ではなかなか食べることのできない
・人参の葉っぱの天ぷら

・じゃが芋をすりつぶして作った芋すり団子
など、このあとも次々に料理が登場、もてなしていただきました。

食後のデザートは同じくへっちょこ=おへその形をした白玉団子の入ったお汁粉。
こちらもつるつる、もちもちしていてすごくおいしいです。

たくさん食べてとっくにお腹いっぱいなはずなのに、ついつい箸が進んでしまいます。

おいらせ町のお家では食卓に並ぶごはんの種類がとても多く、お母さんはずっと台所にいて料理しているイメージなんだとか笑)。新鮮でおいしい食材をつかったお母さん手作りのおいしい料理をこんな風にたくさん食べられるって、本当に幸せなことですよね。

色々とご紹介いただいて、おいらせ町の郷土料理のめずらしさやおいしさが伝わってきたのはもちろんですが、どの料理からもそれを作る人の愛情やその料理を囲む人たちの団欒や温かさを感じて心がほっこりしました。

あなたもぜひ、青森県・おいらせ町を訪れて、人と料理の温かさ、この町の魅力を肌で感じてみてはいかがでしょうか。



記者の紹介

片桐 優妃

会社勤めをしながら、高校時代から10年以上続けるモデル・ブロガー・ライターとしても活動。世界40か国、国内30都道府県旅行済み。生きている間に1つでも多くの国・地域に行くのが目標
https://instagram.com/yuki710/
https://mobile.twitter.com/yuki0710

おいらせ町関連情報はこちら

おいらせ町に関連する様々な情報をご覧いただけます。