八戸市、三沢市、十和田市のほぼ中央部に位置する青森県おいらせ町。県内外からのアクセスも良く、山あり川あり海ありと、自然環境にも恵まれています。
そんなおいらせ町の魅力を移住者の視点で見ると、どのように映るのでしょうか? 第2回目では、全国6か所への引っ越し経験のあるながおきさんと、Uターンでおいらせ町に帰って来た澤口さんにお話しを伺いました。
第1回『【住んでる人の生の声】移住者が口を揃えて言う“Welcomeな雰囲気”が青森県おいらせ町の魅力』はこちら
6か所の転勤経験を経て、おいらせ町に移住したながおきみのりさん
おいらせ町までに6か所の転勤経験あり。ながおきみのりさん
子どもの頃から転勤族の家庭で育ったながおきさん。結婚されたパートナーも仕事の関係で転勤が多く、沖縄から北海道まで6か所に引っ越した経験があります。
子どものためにも定住したいと思い、おいらせ町へ移住しました。現在は、自分と同じように移住してきたママたちのサポートをすべく『はっぴぃよ~が教室』を主宰しています。まずはながおきさんに話を伺いました。
おいらせ町の魅力はアクセス・たべもの・なじみやすさ!
下田公園(地域おこし協力隊・澤口さん撮影)
ーおいらせ町の魅力を教えてください。
おいらせ町の良いところは3つあります。
1つ目は、何と言ってもアクセスの良さ!
青森県内ではおいらせ町は大きい町には入らないけど、県内各地へのアクセスが抜群に良いのが特徴です。米軍基地と三沢空港のある三沢市は隣だし、東北新幹線の停まる八戸市までは車で約20分、奥入瀬渓流のある十和田市までは約30分の所要時間です。
私は仕事の関係で飛行機での移動も多いのですが、三沢空港までは車で約20分。空港には無料の駐車場があるので重宝しています。また、下田百石ICから高速道路に乗ると東北自動車道に繋がり、東京へも車で向かえます。
2つ目は、食べ物が「いちいち」おいしいところ。
観光農園「アグリの里おいらせ」で販売している、足の太さくらいありそうな大根
ー「いちいちおいしい」って表現素敵ですね。
水も野菜も魚も本当においしくて。そんなに味の違いがないと思っていたえのきでさえも……! 本当にいちいちおいしいんです(笑)!
今までいろんなところに住みましたが、おいらせ町に引っ越してきて初めて浄水器を外しました。それくらい水が澄んでいておいしい! だから農作物がおいしいのも納得です。
青森県といえば大間のまぐろが有名ですが、市場やスーパーで見かけることもあります! デメリットといえば、食べ物がおいしすぎて太ります(笑)。
3つ目は、転勤族の人でも家を建てやすいところです。
私たちの家族は転勤族ですが、子どもが大きくなったときに故郷として根付いた場所が欲しいと思って、土地を探していました。
最初は、当時住んでいた三沢市で探していたんですけど……。あるとき、おいらせ町の土地を調べたら、三沢市から5分程度しか離れていないのに地価がだいぶ安いことを知って今の土地を購入しました。
首都圏だと坪単価が高いので家を買うのも踏ん切りが必要だと思いますが、おいらせ町だと一歩を踏み出しやすいかもしれません。
おいらせ町では自分がよそ者だと感じたことがない
ながおきみのりさん
以前住んでいた沖縄には三沢市と同じく米軍基地があるけど、なんとなく県外から来た人はよそ者という印象が強かったんです。だけど、ここでは自分がよそ者だと感じることはないですね。
転勤者や海外からの人も多いので、地元の人と外から来た人の区切りがないという印象です。それこそ町を歩いていると、英語や中国語、フランス語、タガログ語などが聞こえてきます。子どもの通う学校ではダブルの子が多く、その子たちと話している息子はLとRの発音が良くて羨ましい……。年配の方で英語を話せる方も多く、今まで南部弁で話していたのに、米軍基地の人から話しかけられたら英語で返したり……と、少し珍しい場面を見ることもあります(笑)。
ずっと転勤族で生きてきた人にとっては、本当にそういった町の空気感が大切なんですよね。なので、私はこの町の雰囲気が大好きです。もちろん、子どもの医療費助成なども嬉しいですが、それは副次的なものですね。
今までは子どもに何度も転校させてしまいました。私も学生時代は転校が多く、それが嫌だったんですね。だから、子どもには同じ思いをさせたくなかった。親戚もほとんど西の方なので東北地方に頼れる人は特にいませんでしたが、町の人が優しいので安心して住めました。
現在は移住してきた経験を活かし、地域の子育てママに対してヨガ教室を開催したり、サロンを作ったりと居場所を提供しています。私がおいらせ町の人から優しくしてもらったので、その想いが伝播していくようにおもいやりの心をどんどん増やしていきたいですね。
もし移住を検討していて、数か所で悩んでいるならおいらせ町へ来て欲しいです。移住には勇気がいると思いますけど、おいらせ町は他のところよりも失敗する可能性が少ないと思います。北の土地でも良いならぜひ。
受け入れ体制が整っている住民、おいしいごはん、子育てに優しい町が待っています。
おいらせ町へUターンした地域おこし協力隊の澤口さん
地域おこし協力隊の澤口瑠瑞さん
学生時代をおいらせ町で過ごし、高校卒業と同時に上京。約10年間を東京で過ごし、結婚・出産を経ておいらせ町へUターンした澤口さん。2018年11月より地域おこし協力隊として活躍しています。
澤口さんにおいらせ町を案内していただきました。
いちご狩りもできる観光農園「アグリの里おいらせ」
観光農園「アグリの里おいらせ」。観光イチゴ園のイチゴは甘くてジューシー!
最初に連れて来てもらったのが、観光農園「アグリの里おいらせ」。
青森県南地区の出品農家さんが中心となり、採れたての新鮮な野菜や特産品などを直売しています。東北地方なのに国産のバナナを栽培していたりイチゴ狩りができたり、天然温泉の足湯があったりと、観光でも日常でも利用できる観光農園です。
「アグリの里おいらせ」の、種類豊富な農産物たち
個人的に直売所が大好きで見かけると必ず立ち寄るのですが、こんなに施設が大きくて農産物が豊富なところは珍しいのではないでしょうか。価格も安く量も多くて、おいらせ町に住んだらいつでもおいしいものをたくさん食べられそうだなと思いました。
品種の違う、色とりどりのりんごが並ぶ
青森県といえばやっぱり、りんご。県南地方のりんごが勢ぞろいしており、農園の方から品種による味の違いを教えていただきました。
珍しい雪国産のバナナがたわわに生っている
なんと、雪国なのにバナナの栽培をしているんです……! 手ごろなフルーツのバナナも、実際に成長していく過程を見る機会は少ないのでは? 食育のために小学生を連れてくるお客さんも多く、澤口さんもお子さんを連れてきたことがあるとのこと。楽しみながら学べる環境があるっていいですよね。
呑兵衛も嬉しい! 酒蔵もあるおいらせ町
「桃川株式会社」の大杉玉
創業1889年。130年に及ぶ歴史の中で「愛と英知と創造を」の社是のもと、「いい酒は朝が知っている」をキャッチフレーズに、酒造りを行っている桃川株式会社。
酒蔵見学も行っており、実際のラインを見ながら説明していただけます。直径約2mの大杉玉は圧巻です。杉玉とは新酒が出来上がったことを知らせる役割のもので、取材に訪れた12月は新酒が出る直前。新酒ができると青々とした杉玉が飾られます。
「桃川株式会社」での試飲
酒蔵見学が終わったあとは、楽しみにしていた試飲! 桃川株式会社で販売されている12種類のお酒を飲み比べしました。今回は特別に試飲させてくれている……? と、思ったのですが、普段から行っているそう。「飲んでみないと良さはわからないから、多くの人に飲んで欲しい」とスタッフの方がおっしゃっていました。
澤口さんも、普段用の日本酒や特別な日の日本酒など価格によって買い分けているそうですよ。
白鳥も飛来する自然の宝庫「下田公園」
「下田公園」に飛来する白鳥
そういえば白鳥もいるんですよ~! と連れてきてもらった「下田公園」。名前の通り、白鳥が何羽もいました。思ったよりも沢山いたので最初は、え? アヒル? と、見間違うほど。
日中は家族連れが運動や野鳥観察のために訪れるそうです。町中から車を走らせるとすぐに自然と触れ合える環境って素敵だなと思いました。
澤口さんになぜUターンしたのかを伺うと「東京で生活をしていれば不便がなくて、なんでもあって楽しい。だけど子どもを育てるって考えたときに、自分が育ったような大自然の中で子育てをしたい」と考えたそうです。都会の公園のように、思いっきり走ったら(狭いので)すぐ公園の端だったり、遊びに制限をかけたりする環境ではなく、のびのびとした場所と気持ちで子育てをしたい。そういった考えを持つ子育て世代に、おいらせ町は特におすすめと教えてくれました。あと、酒好きの呑兵衛にも最高だと(笑)。
おいらせ町は海に面しているので、魚介類も豊富! となると、お酒が進むのもわかります(笑)。2日間に渡っておいらせ町を案内していただきましたが、まだまだ魅力を伝えきれないとおっしゃっていました。夏には海沿いでのキャンプやBBQなども楽しいですよ~! と、季節ごとに違った良さがあり、四季を通して自然と共存できるおいらせ町。まだまだ発見しきれていない魅力がありそうです。
記者の紹介
加藤あやな
フリーランスのライター&エディター。面白いことを求めて国内外どこへでもフットワーク軽く取材に出かける。得意分野はおでかけ情報やグルメ記事、インタビューなど。最近、筋トレとサバゲ―が趣味に加わった。
https://ayanakato.com/|https://www.instagram.com/ayana.travelgram/